[私が見つけた日本製]:長野 木祖村
中山道69次のど真ん中の宿場町、薮原宿。
江戸時代の旅人の脚泣かせだった難所・鳥居峠(薮原宿と奈良井宿を結ぶ約6㎞の峠)の麓にあり、〝お六櫛〟の産地として栄えました。
秋も終わりの鳥居峠。
ふかふかの落ち葉のじゅうたん。
木祖村最古の馬頭観音さまにご挨拶
にっこり石仏に癒される
お六櫛とは、頭痛に悩んでいた旅籠の娘「お六」が持病の頭痛を治したい一心で御嶽山に詣で願をかけたところ「ミネバリの木で作った櫛を使ったら良い」とお告げがあり、朝夕に黒髪をとかしてみたところ病が全快。
それが、峠を越えて行き交う東西の旅人の間で評判となり、薮原宿の名産〝お六櫛〟として知られるようになった櫛。
ミネバリの木は、成長がとても遅く1㎜太くなるのに3年かかり、斧が折れるくらい堅い木材。
折れにくく、短い櫛にぎっしり並んだ細かい櫛の歯は、職人さんの匠技。
汚れやほこりを落とし、髪にも良いそうです。
峠のミネバリ植栽林地
わたしは頭痛の持病は無いですが、髪のお手入れにと…薮原宿に着いたら必ず〝お六櫛〟をいただこうと思っていました。
薮原宿の山六篠原商店さん
お店が空いているタイミングが難しく、前もって「いつの何時に行きます」と連絡を入ておいたので、走るのにも気合が入りました。
お店では、「まだ来ないだろうと、今出かけようと思っていた」とお店の綺麗なおばあちゃん。
櫛のお手入れの仕方も教えてくださり、丁寧に接客してくださいました。
ネットで買うと目が飛び出るくらいのお値段だけど、藪原宿で買うと少しお値打ち。
お値打ちなので、お六櫛のほかに、ツゲの携帯用櫛と、水洗いできない木櫛のお手入れとして塗る椿油もいただくことに。
確かに使ってみたところ、髪の中にこんなにホコリがあったんだと驚くくらいホコリが取れるし、抜け毛も少ないし、品の良い櫛なので使い方も丁寧になり、連鎖して髪にも優しくなる…。
良いモノを使うって、こういうことなんだなぁ…と思いました。
一生ものとして、大事に使わせていただきます。
櫛を背負って越えた峠は、恋人にお土産を買って旅路を急ぐ江戸時代の旅人気分。
歴史ロマンを感じ思い出深い走る旅となりました。