■ENDEAVORS

安藤忠雄さん。

自伝を読ませていただいたり
建築物を見て回ったりと勝手に親しみを持っている。


この人ほど、〝青春〟や〝挑戦〟を
生きながら体現している人はいないだろう。

パワフルで、生命力に満ち溢れていて
わたしにとって尊敬できる生き神様の様な人である。



2020年6月30日

わたしは、安藤忠雄さんの特別講演を聴きに
司馬遼太郎記念館へ出かけていた。

コロナで緊急事態宣言があり、
2月開催だったものが延期されていた講演である。

「人生100年、豊かに生きる」がテーマで、
人生100年生きるために、どのような心構えが必要か?
安藤さんはどうお考えなのか?という内容だった。

冒頭でお話になった

〝わたしは2009年に胆嚢・胆管・十二指腸にがんが見つかり、
全摘をした。5年後には膵臓と脾臓にもがんが再発し、
それも全摘をして5つの臓器がない。
それでもこうやって講演ができるのだから、
コロナになんか負けるわけにいかない。〟

という言葉は衝撃的で、
人間というか、

いや、安藤忠雄さんの存在に驚きだった。

生命力あふれる大きな声で、
ところどころ会場の人を笑わせ
みんなを魅了していく安藤さんに
ただただ感動していたことを思い出す。



2022年10月21日
大阪市内、某所。

生命力の溢れる声が聞こえる。
眼力も強く、
おいしそうにお食事をされている紳士。

…安藤さんだ。

2020年の特別講演会の時、
医者に「5つの臓器を全摘して生きていても
元気な人はいない」と言われた!とおっしゃられていたが、
今日も「気」が満ち溢れていて、
2年前と全く変わらない。

いてもたってもいられなくて
迷惑だとは思いつつ、考えるより行動してしまった。
思い切って安藤さんに声を掛けていたのだ。

・「人生100年、豊かに生きる」の講演に行ったこと。
・お見掛けしてパワーいただいたこと。
・ありがとうございます…の感謝。

わたしは、目の前に
声を掛けたい人がいらっしゃるチャンスをつかんでも
なかなか声を掛けれずに終わってしまうタイプの人間だ。
百田尚樹さんの時も同じだった。
そのわたしが、声をかけた…。
目の前の安藤さんに心から感動していた。



安藤さんにお目にかかれて
ものすごいパワーをいただいたのだが、

2年前の講演会で安藤さんが

冒険しよう!
挑戦しよう!
青春しよう!

とおっしゃっていたのを再び思い出した。

ちなみに今日知ったのだが
2007年国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展のテーマは〝挑戦〟であり、
この挑戦と意味は
〝CHALLENGES〟ではなく
〝ENDEAVORS〟である。


あの時おっしゃられた〝挑戦〟は
CHALLENGESのことだとばかり思っていたが
課題を乗り越えるのではなく
努力、尽力、することだったのである。

5つの臓器を全摘しても100歳まで生きる!という気力。
目の前の困難に立ち向かっていく姿。
いやー自分は、まだまだ努力してないわ。


2年の時を経て、安藤さんから
「努力、尽力だよ」と言う
暗黙のメッセージをいただいたような気がした。


「失敗を恐れることなく困難な現実に立ち向かう挑戦心。
どんな逆境にあろうとも、夢をあきらめない心の逞しさ。」


言葉だけではなく、
生き方で体現している人の言葉は
重厚で煌めきがあり、
未来に希望を持つ青りんごそのものだ。

頭を高く上げ希望の波をとらえて行こう。
いつまでも輝きを失わない、永遠の青春へーー。


安藤さん、ありがとうございました。

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サミュエル・ウルマンは「青春」の詩の中で
青春とは人生のある期間ではない、心のありようなのだ、と謳いました。
失敗を恐れることなく困難な現実に立ち向かう挑戦心。
どんな逆境にあろうとも、夢をあきらめない心の逞しさ。
身体、知性がいかに年を重ね、成熟しようとも、この内なる若さを失わなければ、
人は老いることなく生きられるというのです。

いつまでも輝きを失わない、永遠の青春へーー

目指すは甘く実った赤りんごではない、
未熟で酸っぱくとも明日への希望に満ち溢れた青りんごの精神です。

建築家・安藤忠雄

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サミュエル・ウルマン
「青春」

青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。
青春とは深い泉の清新さをいう。

青春とは怯懦を退ける勇気、
安易を振り捨てる冒険心を意味する。
ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない。
理想を失うとき初めて老いる。

歳月は皮膚にしわを増すが、
情熱を失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い、
精神は芥(あくた)になる。
60歳であろうと16歳であろうと
人の胸には、驚異に魅かれる心。
おさな児のような未知への探求心、
人生への興味の歓喜がある。
君にも吾にも見えざる駅逓(えきてい:宿駅から次の宿駅へ人や馬をかえて送ること)が心にある。
人から神から美・希望・嘉悦・勇気・力の霊感を受ける限り君は若い。

霊感が絶え、精神が皮肉の雪におおわれ、悲歎の氷にとざされるとき
20歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ希望の波をとらえる限り
80歳であろうと人は青春にして己む。