今年のレースももうすぐ始まりますので
フルマラソンを走るために大切なことを
「走る運動指導者」の視点から何回か分けて連載していきます。
今回は「フルマラソンを走るためのエネルギー源についてをテーマ」にします。
■フルマラソンは走るだけでは完走できない。
フルマラソンによる消費エネルギーは次の数式からおおよその値を算出できます。
「体重kg」×「距離km」=「消費エネルギーkcal」
たとえば60kgのランナーがフルマラソンを走った場合、
60×42.195=2,530kcal
おおよそ2,500~2,600Kcalのエネルギーを消費することになります。
これは、成人男性が1日に必要なエネルギー源とだいたい同じくらいのエネルギー量。
消費エネルギーは走るスピードに関わらず
体重が同じであれば、
2時間台で走るランナーと5時間台で走るランナーでもおおよそ同じエネルギー量を使う計算になります。
■フルマラソン(有酸素運動)のエネルギー源って?
フルマラソンは長時間、特に大きな下半身を動かし糖質と脂肪を酸素を使って燃焼させていく有酸素運動です。
イメージは、
薪をするとき、うちわで酸素をパタパタ送りながら長時間薪を楽しむ・・・
そんな感じです。
この時燃えるための材料となるのが、糖質と脂肪で
燃えた副産物として二酸化炭素と水になります。
スースーはーはー
酸素を吸って二酸化炭素を出して
汗をかいて体温調節をしながら
持続的に全身運動を行い続けている・・・
と言ってもいいでしょう。
糖質や脂肪のエネルギー源は、身体に貯金する形として
糖質は筋肉に蓄えられている筋グリコーゲン、肝臓に蓄えられている肝グリコーゲンと形を変え、血中には血糖として存在し、
脂肪は体脂肪として蓄えられています。
糖質は、
肝臓に100g、
筋肉に300~500g。
全体としても400~600g貯蔵されていて
脂肪は体脂肪として人それぞれの量を貯蔵しています。
(成人男性の標準体脂肪は15%~19%、成人女性で標準25%前後。体重50kgの人が20%の体脂肪を持っていたとしたら、50×0.2=で10kg貯蔵している…)
体脂肪が1kg使われる時、おおよそ7,000kcalの熱量となると言われていて
(10㎏貯蔵している体脂肪なので、7,000×10で7万kcal・・・7万kcal体脂肪を持っています。)
体脂肪だけがエネルギー源だったら・・・
フルマラソンを30本以上もひたすら走れる計算になります。
しかし・・・?
体脂肪だけ考えたらフルマラソンを30本以上も走れるはずなのに…
1本のフルマラソンでも途中で動けなくなっちゃうことが有るのはなぜでしょうか・・・。
それは、走る時・・・グリコーゲンと体脂肪が半分ずつ使われるからなのです。(※人によって割合は正直違います、これはおおよそと言われる一般的な意見…実際、私は無補給で100㎞走ったことがあるので…)
筋グリコーゲンが1g使われる時4kcalの熱量。
400~600g×4Kcal=1600~2400Kcalですので、
1600~2400kcalを使って動く計算です。
体重×42.195㎞がフルマラソンで必要なエネルギーですから、
筋グリコーゲンがなくなってしまう30㎞のあたりで脚がどーんと重くなったり、動けなくなるのは、体脂肪は余っていても筋グリコーゲンが足りなくなるからと言われます。
※特に速いスピードで走ろうとすると
糖質(グリコーゲン)を使う割合が大きくなるので、スピードを出してレースを突っ込んでいくと早い段階で足が止まってしまう事もあります。
そこで必要なのが、栄養や水分補給。
グリコーゲンを切らさないことです。
次の章ではグリコーゲンをきらさないヒントを書きます。
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■【コラム】フルマラソンを走る②30㎞の壁を超える!グリコーゲンローディング