■走る旅:中山道〔48〕塩尻駅から第30次 塩尻宿(塩の道)
※リアルタイムのログではなく、数日前のログです。
〝人間一生 物見遊山…〟
これは江戸っ子の人生観を表す言葉。
生まれてきたのは、
この世をあちこち寄り道しながら見物するためであり、
せいぜいあちこち見て、
見聞を広めて友だちを増やし、
死んでいけばいい…と考えておりました。
わたしはこの言葉が好きで、自分もそうしたいと思っております。
コロナの様子を見ながら、感染予防して
〝うつさない・うつらない〟の心がけをしてこの旅を進めます。
今回は、ようやく帰ってきました!
厳冬期や緊急事態宣言などの社会情勢の理由で、8か月寝かした中山道を走る旅。
3泊4日で4つの峠を越え、約120㎞前進できまして、もうすぐ関東平野に抜けます。
しかし、今回の旅が終わった瞬間に大阪には緊急事態宣言が出まして、
またまた旅はSTOPします。
思うようにならない、そんな先を急がない旅に最初はイラついておりましたが、次第にドラマティックで良いかと思うように。
さて、2020年11月16日の奈良井宿のつづきから書きましょう。
40㎞のレポートは長くなりますので、何分割かしながら旅を振り返ります。
■ルート:
奈良井宿駅~贄川宿~本山宿~塩尻駅~塩尻宿~塩尻峠~富士見展望台~下諏訪駅(40km)
第31次 洗馬宿・塩尻駅からの続きです。
塩尻駅で立ち食いそばをいただき、駅の近くのサントリー塩尻ワイナリーを横目に眺めながら、先を急ぎます。
なぜならこの先、下諏訪までは塩尻峠を越えないとたどり着けないからです。
上諏訪で17時半くらいに、この中山道を走る旅で出会ったお友達と待ち合わせをしているのです。
今は、簡単に「遅れます」とスマホで連絡ができる世の中になりましたが、
学生の頃はそんな便利なものは無く、
頭に雪が積もるくらい、真冬に2時間以上外で待ったことがありました。
その時、友人は泣きながら2時間後に待ち合わせ場所に現れましたが、
そのような経験を経て約束の大切さを学び、お互いの友情はガシッと結ばれていったような気がします。
そんな、古い時代を過ごした私の意地は、
完全に便利な世の中の邪魔をしており、面倒くさいオバハンになっておりますが、
こころを鬼にして前進です。
中央本線は本数が少なく、関西圏と同じ感覚で電車の時間を期待すると「電車が無い!」と、ドツボにハマってしまうんですよね。
17時台の電車に乗るために、泣く泣くワイナリーにさよならを告げました。
〝さよなら!塩尻ワイナリー…またくるからね!〟
大きな工場の前のレタス畑の前をひたすら塩尻宿に向かって走ります。
信州には道祖神が多いですね。
旅の安全や悪霊よけなど、路の片隅で旅人を見守ってくれております。
堀内家 県内で最も美しいと言われる諏訪地方特有の本棟造りです。
屋根のてっぺんが王冠の様で、なんだかカッコいいです。
●堀内家横の道祖神
阿禮…
読めませんでしたが、あれい神社と読むそうです。
「阿礼ノ神」は、塩尻峠(塩尻市と岡谷市の境)西麓を流れる四沢川流域で集団生活を送っていた諏訪族神氏を祖とする氏族が、上流にある五百砥山そのものを御神体に祀ったものといわれているそうです。
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この中山道の旅で、いろんな土地で、色んな神様や仏様に触れることによって
1つ気が付いたことがあります。
日本は昔々から、自然(八百万の神)や先祖や先達を神や仏として大切にしてきているな…という事です。
私も何を大切にしなければいけないか?
中山道の旅を通じて気付かせていただいています。
いよいよ塩尻宿の宿場らしき風景に変わってきました。
●塩尻陣屋跡
●脇本陣跡
●高札場
●上問屋跡
●小野家(いてうや)
看板が可愛い
●塩の道
中山道には、塩尻や塩名田など、何故に塩がつく地名が多いのだろう?と思って、2020年の9月に播州赤穂の塩の国を訪ね、日本の塩づくりについて触れてみました。
(その時の記事→☆☆☆)
その時に学んだことは、
日本は島国でまわりは海水で囲まれいるので、昔から塩は簡単に手に入りそうなものですが、実はとても大変貴重な物だということ。
そして、自分の手で塩をつくってみて、本当に塩づくりは手間がかかることを知りました。
貴重だったという証拠に、日本全国には、塩にまつわる物語や地名がたくさん有ります。
ここ塩尻は、山間部では手に入らない塩の流通の尻(太平洋側の塩と日本海側の塩が出会う終着点)として名付けられた名前なのだそうです。
三州街道や五千石街道の塩の道が合流する交通の要の塩尻。
ここから太平洋と日本海へと塩の道が続いています。
いつか塩の道も旅してみたい!と思いながら、いろいろと調べてみると「ガイドでも道に迷う」と書いていた人がいて、ビビる!
●口留番所跡
●本陣:1
●脇本陣:1
●旅籠:75
●家数:166
●柿沢一里塚
●双体道祖神
お女郎道祖神とも言われているのだとか。魯山人も関心を持ったのだとか。
やっぱり、屋根のてっぺんがカッコいいですね。
松本地方に多く見られる民家の造り。
●高札場
●道祖神
さて。
道祖神様の横に書かれてある標語は
「戦国のつめ跡残す 永井坂」…
さてさて、この先は…
ひたすらダラダラ坂が続きますよ。
今思い起こせば、
永井坂は「長い坂」だったな…って思います。
道は果てしなく…塩尻峠へと。
そして、その塩の地名は、塩を運んだルートだという事も知りました。
まだまだ先だと思っていた「塩尻」
とうとう足を踏み入れることができ、感無量。
また、塩尻から、太平洋や日本海へと塩の道が続くのだ…と思うと、街道って人の生活に繋がっていて、あちこちに繋がっていて、何かと何かを繋げていて…と面白いなぁ…と思いました。
旅を始めたころよりも、街道が大好きになっている自分が今ここにいます。
●高温多湿の梅雨や炎天下の夏の季節は、帽子をかぶったり、こまめな水分補給をしたりして、充分な熱中症対策を心がげましょう。
●冬場は防寒対策を行いましょう。
●中山道は思った以上にコンビニがありません。行動食を持っておきましょう。
●トイレは駅やコンビニがほとんどです。事前に場所をチェックしておきましょう。
●自販機はあるコースと峠越えなどは自販機が無いコースもあります。余分に水分を持参しておきましょう。
●お天気が急に変化しますので、レインウェアを持参しましょう。
●救急グッズを持っておきましょう。
●ローカル線は電子カードが使えないことが多いので、電車賃を準備しておきましょう。