■[先達の教え]易経・山沢損
今日は易経(えききょう)を学んでおりました。
易経とは、占筮(せんせい:占い)の書として発展した書物で、
この書物を読んだのであれば「君子占わず」と、
占わずに時の変化の兆しを察する洞察力・直観力を身に着けることができると言われた古くから伝わる帝王学の書でございます。
易経の言葉の中には、ハッと気付きを与えてくれるものや、なるほど!と沈思黙考するものが多く、生きていく中での指南書となってくれています。
数年前、易経を学びたく、学び舎をさがしたものの納得できるものが見つからず、同じ東洋思想である四柱推命を学びに行ったことがあります。
四柱推命の教えも素晴らしいのですが、易経の教えは さらにしっくりくるので、今でも師はもっぱら書籍ですが、13年のお付き合いをしていただいています。
今日の学び。
易経の中に、こんな言葉がありました。
三人で何かを行おうとすると、途中で揉めて一人が減る。
一方、一人で行えば協力者を得ることができる…という意味。
これは、陰陽に基づく易の本質論であり、
コインは裏表で一体、太陽と月がある様に陰と陽で一対であるから、
一と一は必ず二になるが、三は必ず一を損すると言うことです。
したがって、何かを生み出すときや、深い話をする場合には、三でなく、一対一で相対すれば理解し合い、益を生むということで、これはさまざまな物事に応用できる考え方となっております。
とても深いお言葉です。
私自身も「三」という数はあまり好きではなく、何かをしようとしたときに「三人」や「三つ」である場合、三を二にしようとするよからぬ動きが生じ、空中分解することが多いです。
例えば、
カフェで3人でおしゃべりしている女子を見ると、
2人ばかり話が盛り上がり、1人は仕方なくスマホを触りだす。
4人の場合は2対2に分かれておしゃべりをしている…そんな風景をよく見ることがあります。
男女も三角関係は必ずうまくいきません。
〝三人寄れば文殊の知恵〟は、本当に文殊の知恵が生まれるのか?…
それから、よく巷で言われる「三矢の教え」で、
毛利元就が、兄弟げんかばかりする 長男毛利隆元・次男吉川元春・三男小早川隆景に、
〝一本の矢は簡単に折れるが、三本の矢を束ねるとそう簡単には折れない。〟と、
心を一つにして乗り越えよと説いたとされる話は有名ですが、
その後、3人は仲良くやって行けたのか?と気になってしまいます。→だれか教えてください。
しかし、うまくいかなかったとしても悪くはありません。
それを易経がおしえてくれています。
山沢損とは卦(け)の1つでありますが、
「山沢損」の卦をよんでみると、良い兆しも読み取れます。
〝損〟というくらいなので、一見、凶卦(きょうけ)の様に見えるますが、
易は常に変化しておりますので、その先の卦の意味も持つのです。
「山沢損」の先の卦は、「風雷益(ふうらいえき)」。
損は、損することによって非常に力が着いてくるので、「山沢損」が出たらすこしずつ物事が順調に進み、利益が増してくるという意味とも捉えられます。
(※話はそれますが、ちなみに貝原益軒は若いときは損軒と名乗っておられて、人格が進むにつれて自得することがあり益軒に改めた様です。)
たとえば、三が二になったり、一になったとしても、
一旦「損」することでゆくゆくは益を生む事につながっていく…。
悪いことばかりでも良いことばかりでもなく、常に世の中は有為転変しているとうという事を教えてくれています。
最後に、先達の教えは、人生の指南書。
今日の易経からの学びは、
●何かを生み出すときは「二」を大切にすること。
●今のコロナウィルスも、もし「悪」ととらえるならば、常に世の中は有為転変。
陰から陽へ…損から益へ…悪から良へと変化していくのだ。
そんな事を学びました。