■promise
コロナ禍が来るなんて知らない、まだ行動制限のない生活をしていた頃のこと。
私は定期的に山の整備のボランティア活動に参加していた。
コミュニティの方々が人生の大先輩であることや、社会的背景を考慮して、当面参加は見送ることにしたのだが、ありがたいことに…メンバーの方は私の存在を忘れずに定期的に連絡をくださっていた。
桜の季節に、
〝この山の銀杏は美味しいよ。下処理は臭いけれど、処理はしてあげるから一度食べてみて。お楽しみに♬〟
〝先生くらいの顔の大きさの饅頭知ってる?今度見せるわ!〟
…と、人生の大先輩たちが、こんな忘れてしまいそうな未来の約束をしてくれていた。
そして…歳晩の頃、大きな饅頭と銀杏が届く。
なんと!しっかり覚えていてくれたのだ。
+++—————————+++
どんなに小さなことでも
自他に対する約束を守ることによって内的な誠実さが育成され
自制心と自分の人生に対する責任を引き受ける
勇気と力が湧いてくる
(スティーブン・R・コヴィー)
+++—————————+++
ネットが普及する前の世代を生きていた時は、メールやSNSで直ぐに連絡できない環境だったので安易な約束もしなかったし、破れなかった。
寝坊した友達との待ち合せは、お互い連絡の取りようが無いから、雪の中2時間待ったこともあったな。
無駄で、鈍間で、選択肢のない時代。
でもなんとなく責任感があって誠実な時代だったのかも。
〝無駄がなくスピーディーで選択肢の多い時代〟になっても、
〝無駄で鈍間(のろま)で選択肢の無かった時代〟での気付きを忘れずにいたい。
そんなことを人生の大先輩から届いた〝約束のモノ〟を見つめながら思った。