■かわいい子には旅をさせよ
うちもたいがい田舎であるが、もっと田舎の駅から電車にスズメが乗って来た様で、頭上でバタバタしてる。
人に寄り添い、大きな鳥から身を守って暮らしているスズメにありがちな不運だ。
ある人は窓を大きく開け、スズメが逃げやすい様にしている。
私はハラハラしながら、各駅でドアが開くごとに「今だ!いけ」と心の中で叫ぶ。
たぶん誰もが心の中でそう叫び、車内はサイレントではあるが、甲子園球場で行われる阪神戦の様な声援があがってたにちがいない。
結局スズメは、オフィス街が並ぶ駅で脱出に成功した。
飛んでいくスズメの後ろ姿を見ながら思う。
集団で行動するスズメがたった一羽で、自分が暮らす田舎からどんどん遠ざかったことは、心細くないか…。
街のスズメの縄張りもあるだろうに、これからちゃんとご飯が食べていけるのか?
都会暮らしに疲れはしないか…と、まるでスズメの母の様な気持ちになる。
アドラーは課題の分離にて、「誰の課題なのか?という視点を持ち、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要がある。そして他者の課題に介入することをやめよう…云々」と言う。
他人(鳥)の課題にどっぷり浸かって、しんどくなっている自分も人間くさくてよいか。〝かわいい子には旅をさせよ…〟と、ちょっとスズメの親の気持ちになれた朝。
そんな1日のスタートでもまぁよかろう。